*お断り*アイキャッチ画像は2023年に作成しました。
今年2024年の元旦は甲子の日です。甲子は「こうし」または「かっし」「きのえね」と読み、大黒天様の御縁日であるとても幸運な日なんですよ。
今回は甲子の日についてまとめていこうと思います。
「毎日を丁寧にすごしたい」「暮らしを豊かにしたいな」など丁寧な暮らしに憧れるあなた、暦を活用した生活はきっと心を豊かにしてくれると思いますよ。
『365日、暮らしのこよみ』はページの下に小さく幸せのヒントが書かれています。「えい」っと開いたページにどんなことが書かれていますか?今日の占いにも使える楽しい本です。
十干十二支年の組み合わせに6回廻ってくる甲子の日
甲子は「こうし」「かっし」「きのえね」とよみます。わたしは訓読みで「きのえね」と読みますが、「こうし」と読む場合が多いようです。
甲子とは十干と十二支の組み合わせで決まる日にちで、十干と十二支どちらも一番目にあたりたいへん縁起の良い日とされています。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
十干 | 甲 | 乙 | 丙 | 丁 | 戊 | 己 | 庚 | 辛 | 壬 | 癸 | 甲 | 乙 | 丙 | 丁 | 続く |
十二支 | 子 | 丑 | 寅 | 卯 | 辰 | 巳 | 午 | 未 | 申 | 酉 | 戌 | 亥 | 子 | 丑 | 続く |
十干は10個と十二支は12個あるので最小公倍数の60通りの組み合わせで一巡します。つまり60日に1回、1年に6回甲子の日が廻ってくるわけです。
年にも十干と十二支が組み合わされていて、60年で一周します。60歳になると赤いはんてんや帽子を着て家族で還暦の祝いをしますよね、「暦が還る」と書くのはそのためです。
甲は五行では木性に属し、子は水性に属します。五行では水と木は相正関係にあり、相性が良い、吉と考えられています。
2024年の甲子の日
23年は甲子の日が6回廻ってきましたが、2024年は1回多く甲子の日が廻ってきます。さぁ元旦の次はいつでしょうか?
今年の甲子の日を表でまとめました。
1 | 1月1日 | 九星陽遁始め 天赦 一粒万倍日 |
2 | 3月1日 | |
3 | 4月30日 | 一粒万倍日 |
4 | 6月29日 | 九星陰遁始め |
5 | 8月28日 | 一粒万倍日 |
6 | 10月27日 | 不成就日 |
7 | 12月26日 | 九星陽遁始め 天赦 一粒万倍日 |
暦には十干十二支と併せて九星が書かれています。九星とは易から派生した考えで、一白水星、二黒土星、三碧木星、四緑木星、五黄土星、六白金星、七赤金星、八白土星、九紫火星と順に廻ります。
星の巡りが昇順か降順かを甲子の日で切り替えます。冬至に近い甲子の日で九星は昇順、夏至に近い甲子の日で降順に切り替わります。
ネズミが大黒天の使者のため甲子の日は御縁日
そもそもどうして甲子の日が大黒天の御縁日なのでしょうか?甲子と大黒天にはどんな関係があるのでしょうか?
中国では大黒天は厨房の神とされています。そのため、中国から伝えられた当初、お寺の食堂で祀られました。それが庶民に伝わって、庶民の家でも台所で祀られるようになりました。
密教では毘盧遮那仏と見なしています。略して盧舎那仏(るしゃなぶつ)と言うことが多いですが、大日如来と同一視されています。盧舎那仏で有名なのが東大寺の大仏です。
でもここで注意が必要なのですが、天照大御神は大日如来の権現と考えられています。図式化すると大黒天→盧舎那仏→大日如来→天照大御神。しかし、大黒天=天照大御神とはなりません。
大黒天は大きな袋を抱える所や、大黒が大国に通じ、大国主命と同一視されています。
大国主命が火に囲まれて穴から脱出できずに困っているところ、ネズミが現れて「内はほらほら、外はずぶずぶ」と言って脱出のヒントを与えてくれました。
無事に穴から脱出すると、ネズミたちが矢を運んで来てくれて目的物を手にすることができました。
そのため、大国主命を助けてくれたネズミは大国主命の使者とされています。
大黒天の足下には米俵が描かれます。お米が豊作だとネズミも増えます。ネズミは五穀豊穣の象徴とも考えられ、干支の子と結びつけられて、特に縁起の良い甲子の日を大黒天の御縁日となりました。
甲子の日に行われる甲子祭と甲子待ち
大国主命や大黒天を祀る神社やお寺では甲子祭(大黒天祭)が行われます。
また各家庭では甲子待ちと称して、子の刻(午前1時頃まで)起きて大豆や小豆、黒豆、二股大根を供え子孫繁栄・商売繁盛などを祈りました。
寝待ちの本当の意味は子孫繁栄
あくまでも私の解釈ですが、甲子の日に寝待ちをする本当の意味についてお話しします。永田文昌堂の『神道大祓全集』におさめられている「大黒神甲子祝文」を読むと知ることができます。
祝詞がいつ作られたかは分かりませんが、読み慣れていない文体・文調のため、また甲子祭が流行したのは江戸時代のため、江戸時代の中~後期ではないかと思います。
祝詞の主旨は、大国神のお役目によって沢山の名前を持っていること、そのお力によって病や災いを払い天皇の御代の安泰と家内安全を願います。
祝詞の冒頭には甲子について説明がされています。
甲子とは木の栄える根といい、寝待ちとは大地を祭ることである。地とは妻のことであれば、寝待ちとは「寝交待(ねまち)」という
えっと、つまりですね、根とは木草の根に限らず男性の根であって、女性が夫を受け入れる準備を待ち、夫婦仲良く子作りをしましょうね、っていうのが甲子の日の目的になります。
つまり、陽気が満ちて子作りにピッタリな日だったんです!
大国主命はとても美形だったため沢山の奥様いました。当然、お子様も沢山います。大国主命の御神徳にあやかって、子授けを祈る日だったんでしょうね。
祝詞に堂々と書いてあるように、ちゃんと女性の気持ちや体調を考えて仲良くしましょうね、という教えが昔からあるのですよ!
女性の気持ちが分からない、もっと仲良くしたい人は相手を思いやる気持ちを持って、大国様にお祈りしたらいいですよ!
まとめ
以下、甲子の日についてまとめます。
甲子の日とは十干と十二支とも一番目の項であるため、ものごとを始めるのに縁起のよい日である。大黒天を祭る神社やお寺では五穀豊穣や子孫繁栄、健康長寿を祈るお祭りが行われます。
一般家庭でも大豆や小豆、二股大根を供え子の刻まで起きてお祝いする甲子の寝待ちが行われます。もしくは夫婦二人だけで夜を過ごす日です。
いかがでしたか?甲子の日が楽しみになってきましたか?
「暦」というと占いや呪術的なものと勘違いしている人がたまにいます。過去の私もそうでした。この日にこの方向へ行くと良い、延喜の善し悪しとか書かれていて「うさんくさい」と思っていました。
実は昔の人の英知が詰まっています。暦を活用して夫婦が仲良くなればいいですよね。まずは「暦はうさんくさくない!」と思ってほしいです。